紙とペン
ペーパーレスの時代の流れに思うこと。
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デジタル。と紙とペン。は、記録されるものの性質の異なりだと思います。
ペーパーレスが推奨される中で「まだ、紙なの?」という言葉も耳にしますが
紙とデジタルの基盤は 対立構造ではなく。
- 紙とペンの記録は、メモリー。
- デジタルの記録は、データ。
それぞれの媒体が得意とする記録の「性質」のよる分岐と考えています。
かつて、私のホームドクターであった老先生は独逸語でカルテを綴られていて
何を記されているかはともかく、診察の時には趣ふかく眺めていました。
毎度、次のマラソン大会はいつだとお尋ねになります、
そしてそのメモをそこだけは 日本語でに記されていました。
。。
私が診察をうけるのは、数年に一度でしたが、
独逸語と日本語で交互に綴られていくカルテの形成を眺めるのは密やかな楽しみでした。
老先生がお隠れになって数年を経た現在
わたしのかかりつけのお医者様のなかで手書きのカルテを採用されている方はおられません。
頑固な風貌の老先生の文字の中にお人柄が滲んでいたことを懐かしく思い出しますが、
カルテの本質はデータなので、活用域を広げるためにデジタル化はあるべき進化と捉えています。
今の主治医の先生もマラソンのことを尋ねてくださいます。
カチカチとカルテに刻まれていく私のラン歴に
媒体は異なれど、記録の主体に人があることの普遍を眺めています。